キャンプとかハイキングとか

シングルモルトとアウトドアを楽しむブログ

自宅で味わう燻製の美学

夏のキャンプは好きだが、最近はどうにも足が遠のく。

理由は簡単だ。

暑さと吸血昆虫だ。

 

特に蚊のしつこさにはうんざりだ。

それに、猛暑の中でテントを張り、火を起こし、汗だくになりながら調理をする気力もなかった。

 

だが、それでも燻製が食べたいという気持ちは抑えられなかった。

キャンプで楽しむあの特別な味を、自宅で再現できないだろうかと思い立ち、キッチンを使って燻製に挑戦することにした。

 

まず、ロッヂのダッチオーブンを取り出し、りんごのスモークチップを用意した。

 

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さっそくオーブンにチップを敷き詰め、その上にロストルをセットする。煙が立ち上がる準備は整った。

 

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冷蔵庫を開け、手に取ったのは鴨肉とソーセージ。

 

それから、いくつかのジャガイモとニンニクも追加することにした。

 

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燻製の煙に包まれると、これらの食材がどんな風に変わるのか、考えるだけで胸が高鳴る。

 

肉の脂が溶け出し、煙の香りがしっかりと染み込んでいく様子を想像するだけで、期待が膨らんでいく。

 

火を入れると、チップから甘い香りが立ち上がり、キッチン中に広がった。

 

りんごの香りが空気を満たし、俺の嗅覚を刺激する。

 

蓋をしたダッチオーブンの中では、煙が食材たちを優しく包み込んでいる。

 

時間が経つごとに、キッチンはまるで小さなスモークハウスのように変わっていく。

 

窓の外の暑さや、刺すような蚊の存在も忘れさせる、静かなひと時だ。

 

30分ほど経ったころ、蓋をそっと開けてみた。

 

そこには、しっかりと燻製された鴨肉とソーセージ、柔らかくなったジャガイモと香り豊かなニンニクが鎮座していた。

 

煙の力で素材の持つ味が引き立ち、一口かじるたびに、りんごの甘さが口の中に広がる。

 

鴨肉はジューシーで、ソーセージは噛むたびにスモーキーな風味が溢れ出す。

 

ジャガイモはほくほくで、ニンニクは柔らかく、燻製の力でその風味が一層深まっていた。

 

思わず、もう一口、さらにもう一口と手が伸びる。

 

燻製の香りがこんなにも食欲をそそるものだったとは。

 

自宅でここまで本格的な燻製が楽しめるとは思っていなかった。結局、気づけばすべてを平らげてしまい、満足感と共に、心地よい疲労感が体を包み込む。

 

夏のキャンプの代わりに始めた自宅での燻製。

しかし、これが思いのほか楽しく、そして美味しかった。燻製の醍醐味は、場所を選ばない。

 

どこにいても、この香りと味を楽しむことができるのだ。

次はどんな食材を燻製にしようか、そんなことを考えながら、俺は満足げにキッチンの片付けを始めた。

 

燻製の楽しさに、また一つ、新しい扉が開いた瞬間だった。