台風の影響でいつもの静けさを取り戻した万博記念公園は、今日、予想外の光景を見せていた。
ガラガラの公園には風が吹き抜け、まるで時が止まったかのような静寂が広がっている。
だが、その静けさの中に、私と不登校引きこもり小学生の息子がいた。
目の前のスマホ画面にはポケモンGOの画面が映し出され、彼の目は輝いている。
いつもなら家に閉じこもりがちな彼が、今日はなぜか違った。
彼が自ら「そろそろ行こうか」と言ったとき、私の胸は高鳴った。
台風で万博記念公園のイベントは中止されたものの、お隣のEXPOシティはまるで別世界。
駐車場待ちの車が長蛇の列をなし、人々はまるで蟻のように忙しく動き回っていた。
しかし、私たちはその喧騒をよそに、公園内を歩き回ってポケモンを捕まえていた。
まるで彼の心の中にあった壁が少しずつ崩れ、外の世界が少しずつ彼に近づいているような気がした。
ポケモンGOというデジタルの魔法が、彼を外の世界に引き出してくれたのだ。
いつものように「やっぱりやめとく」と言うかと思いきや、今日は違った。
彼の中に何かが変わったのかもしれない。
目の前に広がるリアルな世界とデジタルな世界が重なり合い、彼の心に新しい風を吹き込んだのだろう。
彼は夢中になってポケモンを追いかけ、私の方が置いてけぼりを食うほどだった。
その光景は、かつての引きこもり生活とは対照的で、まるで新しい自分を見つけたかのようだった。
そして、次の言葉が私の耳に飛び込んできた。
「次は梅田に行きたいな」と。。。
彼のその言葉には、かすかな決意が込められていた。
私が望んでいたのは、まさにこの瞬間だった。
彼が自ら外の世界に興味を持ち、自らの足で歩み始めること。
ポケモンGOがもたらしたこの小さな一歩は、引きこもりからの脱却のための大きな一歩となるかもしれない。
彼が再び外の世界に足を踏み入れることができるのなら、どんな小さな可能性でも試してみたい。
台風が過ぎ去った後の静けさの中、私たちは新しい未来への一歩を踏み出したのだ。
外の世界は、ただのデジタルなポケモンの世界ではない。
そこには彼が知らない可能性や喜び、そして冒険が待っている。
今日はその第一歩。
次は梅田、その次はどこへ行くのだろうか。
彼の心が開かれ、外の世界と繋がる瞬間を目の当たりにできることが、これほどまでに嬉しいとは思わなかった。。。
ポケモンの主題歌の一節
「見たことないやったことないを恐れないで、ほら、ヒューチャーヒーロー走るんだ。追い風を受けて」
この歌詞のように、 このまま、この流れに乗って、彼が自分自身の殻を破り、引きこもりから脱却できることを願ってやまない。
(息子撮影)