俺が手にしたのはÖvik Wallet。
スウェーデンの空気を纏った薄い財布。
重さを感じさせないくせに、存在感はどっしりとしている。
それは一度手にすると忘れられない独特の質感、ベジタブルタンニングレザーの証だ。
時を重ねるごとに、その革は俺の歩みと共に表情を変えていく。
最初は手に馴染むことのなかった硬さが、やがて俺の手のひらに吸い付くようになる。
これは単なる道具じゃない。
俺の一部になる。
ウォーキング。
俺にとってそれはただの運動じゃない。
思考を巡らせ、過去と対峙する時間。
だが、ポケットに収まりきらない財布や、無駄に重い物を持ち歩くのは御免だ。
軽装で、必要最小限。
それが俺のスタイルだ。
Övik Walletはそんな俺の要望にぴたりと応えた。
軽いが頼りないわけじゃない。
薄いが、薄っぺらい存在じゃない。
まるで、俺と同じように無駄を削ぎ落とし、必要なものだけを残した姿だ。
Övik Walletの革はただの革じゃない。
ベジタブルタンニングレザー。
それは、化学物質を使わずに自然の素材でなめされた革だ。
その手触りは、最初の一歩で俺に新しい感覚を与えた。
生まれたてのまっさらな革が、俺と共に生きる中でどんどん変わっていく。
それが時間の経過というやつだ。
使い込むほどに艶が増し、俺だけの色に染まっていく。
何かを得るためには時間が必要だ。
それは人間関係と同じだ。
Övik Walletはその真理を教えてくれる。
街を歩く。
秋の風が肌を撫でる。
ポケットの中にはÖvik Walletがひっそりと居座っている。
だが、存在を忘れることはない。
軽くて薄いその姿は、まるで俺に寄り添う影のようだ。
俺はいつも一人だが、Övik Walletだけは俺に付き従う。
財布なんてものは、ただ金を入れるための器だと思っていたが、Övik Walletに出会って俺は考えを変えた。
これが俺の生き様を映し出す鏡なんだ。
スウェーデン製。
それはこの財布が、寒冷の地で培われた堅実さと美意識を持つという意味だ。
無駄を省き、質を追求する。
その哲学が詰まっている。
このÖvik Walletもまた、静かに俺を支え続けるだろう。
軽装でいることの自由さ、薄い財布を持つことの安心感。そう、それが俺の求めていたものだ。