前回までのあらすじ
7月27日の太陽は容赦なく、琵琶湖の水面を灼熱の光で包み込んでいた。
その日、俺と相棒は20歳代からの付き合いを経て、再びブラックバス釣りに挑むために和邇川河口へと足を運んだ。
しかし、過去の悲しい思い出と同じように、釣果は芳しくなかった。
湖の風景が霞む中、俺たちはラーメン藤 和邇店で昼食をとることにした。
あの店のラーメンは、いつも俺たちの心を癒してくれる。
湯気の立つ丼を前にして、俺たちは無言で麺をすすり、スープを飲み干した。
その味わいは、失敗を忘れさせるほどに深い。
加藤誠司との出会い
だが、釣りとラーメンだけがこの日の目的ではなかった。
俺たちの真の目的地は、加藤誠司のルアー工房「REVONIK」だ。
彼の工房は、琵琶湖からほど近い場所にあり、釣り人たちの間では知らぬ者はいない。
工房に入ると、大きな三列のショーウィンドーの中に飾られているルアーたちに目を奪われた。
加藤誠司は、気さくでWITにとんだ男で、彼の作るルアーは一つ一つが芸術品だ。
俺たちは、その中でも特に注目されている「VOLBEAT」と「DOTSIX」を求めていた。
VOLBEATとDOTSIX
「VOLBEATとDOTSIXを手に入れたい」と俺が切り出すと、加藤は静かに頷き、作業台の下からケースを取り出した。
その中には、美しく光るルアーが収まっていた。
「これがVOLBEATとDOTSIXだ。
慎重に使えよ。
これはただの道具じゃない、一つの命だ」
と加藤は語った。
その瞬間、俺はこのルアーに宿る力を感じた。
俺と相棒は、加藤の言葉を胸に刻み、静かに工房を後にした。
再挑戦の決意
この日、俺たちは釣果に恵まれなかった。
しかし、加藤誠司のルアー工房で手に入れたVOLBEATとDOTSIXは、俺たちの次なる挑戦への希望を灯してくれた。
灼熱の琵琶湖で過ごした一日は、決して無駄ではなかったのだ。
釣りとラーメン、そして加藤誠司との出会い。
この日の全てが、俺たちの心に深く刻まれた。
そして、また新たな冒険へと向かう準備が整ったのだ。