息子が変わったのは、ほんの数か月前のことだ。 かつての彼は、家に閉じこもり、外界と断絶したような生活を送っていた。 学校にも行かず、部屋の中でただ日々をやり過ごすだけ。 それがこの7月までの日常だった。 だが、ある日、人生を変えるアプリが息子の…
ふと、京橋での飲み会の通知が舞い込んできた。 今やあの会社も昔話のようだが、どういうわけかこの街が俺を呼んでいる。 心なしか秋の風も少し冷たくなり、大阪の街が見知らぬ顔を並べ始めた頃合いだ。 糖尿病患者の標語が頭をよぎる。 「飲む前に歩け。」…
秋風が心地よくなったこの季節、裏山へ足を向ける。 夏の間、奴ら——血に飢えた蚊の大群——に占領されていたこの場所も、今は静かだ。 まるで長い戦いが終わり、戦場が再び自然に返されたかのようだ。 俺は、久しぶりに息子と二人、裏山を散策してきた。 かつ…
俺と体重――70キロを切ったその理由 野菜、タンパク質、そして炭水化物――この順番は鉄の掟 急激な変化には、理由がある 俺と体重――70キロを切ったその理由 気がついたら、70キロの壁を下回っていた。 そんな日が来るとは思ってもいなかった。 高校時代以来の…
難波の街を歩いていると、どこか懐かしい気持ちがこみ上げてきた。 息子と俺は、まるで昔からの習慣のように、北極星に足を向けていた。 西心斎橋の古い建物、オムライスの本店だ。 長い歴史を持ちながらも、その風情は変わらず、どっしりと時を超えてそこに…
今日は息子と難波に出かけた。 ポケモンGOをやるためだ。 かつては引きこもっていた彼が、今は連日外に出ている。それを考えると、もはや引きこもりとは言えないかもしれない。 とはいえ、電車の中や人混みでは怯えた様子だった。 緊張していたんだろう。 け…
冷えたコンクリートの階段を一歩一歩踏みしめる。 スタジアムの歓声が耳を刺し、無数の人々が歓喜に沸き立つ。 それを、息子が静かに見つめている。 引きこもっていた息子が、今日ここにいる。 それだけで、俺の胸の奥に何か重いものが動いた気がした。 静寂…