数ヶ月前には何の抵抗もなく履けたはずのそれが、今やウエストのラインで頑なに動きを止める。
俺の身体は知らぬ間に裏切り、積み重ねた月日が静かに重荷となっていた。
鏡に映る自分は見慣れたはずの姿ではない。
何かが崩れたのだと、痛感する瞬間だった。
自分を取り戻すため、俺は久しぶりに自作のマンサンダルを手に取った。
それを履いてアスファルトに足を置いたとき、過去の自分に戻れるかもしれないという儚い希望が心の片隅にあった。
だが、現実は甘くない。
走り出してから20分も経たないうちに、脚は鉛のように重くなり、呼吸は荒れ狂う波のように乱れた。
以前の俺ならこんなことで足を止めなかったはずだ。
汗が額を伝い、視界がぼやける中で、俺は立ち止まった。
街の喧騒は遠く、ただ耳の中で鼓動が高鳴る。
何が変わったのか、何が俺をここまで押し下げたのか、自問自答するが、答えは出ない。
拳を固く握りしめるが、虚空に向けたそれには何の意味もない。
すべてが、自分自身の怠惰が招いた結果だと知っている。
しかし、このままでは終われない。
自分を追い詰めることでしか見つけられない何かがあるはずだ。
鏡の前の自分と向き合い、再び足を動かす決意をした。
今度こそ、あのショートパンツが軽やかに履ける日を取り戻すために。