「10年」という数字が、我が家の家電たちに刻まれた運命のように思える。
寝室のエアコンの効きが悪くなり、その存在を見つめるうちに、「設計上の標準使用期間」という表示が目に入る。
その期間は10年。(メーカー問わずエアコンは10年)
そして、その数字が過ぎると、発火やけがといった事故のリスクが高まるという。
(扇風機は5年)
引っ越してから10年、我が家の家電は軒並み10年選手だ。
まるで時を刻む時計が一斉に止まるかのように、みんな同時に引退の時期を迎えている。
洗濯機はすでに息を引き取り、エアコンもその道を歩み始めているようだ。
目の前にあるのは、年老いた歴戦の兵士たちが引退を告げる瞬間のようだ。
この10年の壁を越えた家電は、まるで爆弾を抱えているかのような不安を感じさせる。
事故のリスクが高まるとされる中、私たちはその家電を信じ続けるべきなのか、それとも冷静に手放すべきなのか悩む。
結局のところ、家電が10年しかもたないのなら、高価なものを選ぶべき理由があるのだろうか?
10年で引退が決まっているならば、安い家電で十分なのではないか?
家電の寿命が10年と決められているならば、私たちの選択肢は限られている。
耐久性を追求するか、コストパフォーマンスを重視するか。
どちらにしても、10年という数字が、私たちの選択に影を落としていることに変わりはない。
そんな思いを胸に、私はエアコンの前に立ち尽くし、その運命を見つめていた。