息子が変わったのは、ほんの数か月前のことだ。
かつての彼は、家に閉じこもり、外界と断絶したような生活を送っていた。
学校にも行かず、部屋の中でただ日々をやり過ごすだけ。
それがこの7月までの日常だった。
だが、ある日、人生を変えるアプリが息子のスマートフォンにインストールされた。
そう、「ポケモンGO」だ。
最初は小さな変化だった。
近所の公園まで歩いてみる。
次に、少し遠くのジムやレイドバトルに参加してみる。
そして昨日、息子は大阪の繁華街、難波と梅田の熱気に包まれたイベント「ワイルドエリア グローバル」に出かけた。
このイベントは、現実世界を舞台にしたポケモンGOのリアルイベントだ。
多くのトレーナーたちが集まり、ポケモンを捕まえ、交換し、共に歩く。
息子はその中心にいた。
そして驚くことに、1週間前には福岡市で開催された「ワイルドエリア 福岡」にも参加していたのだ。
7月までの息子を知っている者なら、これは夢のような話だろう。
だが、これは現実だ。
この4日間、息子は一日20km以上を歩いた。
大阪と福岡でのイベントを合わせると、合計80kmにもなる。
かつて部屋の中でじっとしていた彼が、今では歩き、笑っている。
この変化に、私も目を疑うばかりだ。
もちろん、大阪から福岡までの移動費や宿泊費は決して安くはない。
だが、それ以上の価値があると断言できる。
息子が家から出る。
それだけで十分だ。
ポケモンGOが彼の人生を変えた。
いや、救ったと言ってもいいかもしれない。
アプリ一つでここまで人が変わるのか?と疑問に思う人もいるだろう。
だが、私は信じている。
息子の笑顔と80kmの足跡が、その答えだ。
「ワイルドエリア グローバル」は今日で幕を閉じたが、息子の冒険はまだ始まったばかりだ。
この先も彼がどんな道を歩むのか、どんな世界を見つけるのか、それは誰にもわからない。
だが一つだけ確かなことがある。
それは、ポケモンGOが彼に「歩む勇気」を与えたということだ。
ポケモンGO様々である。
これからも息子と共に、新しい冒険の日々が続いていくだろう。