昼飯といえば、かつてはラーメン一択だった。
出張先でも、手軽でうまい。
だが、糖尿病と診断されてから、そのラーメンが敵となった。
無情な話だが、これが現実だ。
俺は自らの健康を守るために、新たな昼食の相棒を探す羽目になった。
そして見つけたのが、とんかつ定食だ。
とんかつ定食。
脂っこい豚肉が皿の上で鎮座し、その横には山盛りのキャベツの千切りが控えている。
糖尿病患者の俺には、このキャベツが重要な役割を果たす。医者からの指示は明確だ。
「まずは野菜を食え」と。
俺は忠実に従う。
キャベツを口に運び、次に味噌汁を飲む。
そしてようやく、とんかつとご飯にたどり着くのだ。
この儀式のような食事順序が、俺の新たなライフスタイルの一部となっている。
だが、今日の昼飯は少し違った。
Googleマップで検索し、評価数と点数の高い定食屋を見つけた。
俺は評価の高い店が必ずしも「うまい店」とは限らないことを知っている。
高評価の理由には、量が多い、安いといった要因も絡んでいるからだ。
糖尿病患者にとって「安い」は歓迎だが、「量が多い」は最大の敵だ。
今日の定食屋も、その敵だった。
店に入ると、見事なまでにボリュームたっぷりのとんかつ定食が出てきた。
香ばしい匂いに食欲を刺激され、俺はすべてを忘れてしまった。
キャベツを先に食べる…そんな慎重な計画もどこかへ消え去った。
とんかつのサクサクした衣とジューシーな肉に、俺はただ夢中だった。
気づけば、ご飯まで完食していた。
美味しいがゆえに、完食してしまう。
それが問題だ。
満腹感が押し寄せ、店を出た後の俺の歩みは重かった。
食い過ぎた自覚がある。
だが、美味しいものを目の前にして、自制するのは至難の技だ。
困ったものだ。
糖尿病と闘う俺にとって、うまいものは最大の誘惑であり、最大の敵でもある。
結局、今日もその誘惑に負けた。
評価の高い店に行くときは、気をつけろ。
美味いかもしれないが、量が多い可能性も高い。
特に糖尿病を抱える身には、量と味のバランスが重要だ。
うまいものを食べたいが、健康も守りたい。
そのバランスを探る戦いは、まだ続く。